モネのあしあと 原田マハ

原田マハ印象派物語、の三菱一号館美術館高橋明也さんとの対談の中で出てきた、原田さんとモネとの出会い、が気になり読んでみました(これはどんな出会いだったのか、本当に予測できる人はいないと思います…。大野一雄さんという舞踏家の方を初めて知りました)。が、他の部分でもこの二つはセットで読んでよかったな!と思いました。印象派物語、の方はどちらかというと絵そのものを楽しむ感じのもので、より深く絵画を味わうための物語の小品集、という印象だったのですが、こちらはその解説本という感じで、モネだけでなく、印象派の画家たちが生きた時代がどんな時代だったのか、なぜこのような表現が生まれてきたのか、ということをもっと理解することが出来ました。

 

フランス革命(これは少し前の時代のお話)や、産業革命、鉄道の発達、そして日本の開国など、社会的な出来事が絵画の世界にも影響していたんだなぁと。ポーラ美術館でモネの絵を見たとき、他の田舎の美しい風景と対照的な気がして、なんで鉄道や駅の絵を描いたのかなぁ?と思っていたんですが、この当時鉄道は新しい時代の新しい物で、現代の私たちが思うようにありふれたものではなかったんだなぁと。

また、典型的なアカデミーの絵として紹介されているブーグローは私はかなり好きなのですが、この人の絵が遊びに行った男性の家に飾ってあったらひくよね!という話には笑いました。確かに、並べられているルソーの絵の方が納得できるというか、違和感がないように思うというか…これが現代人だからこう感じる、というのが面白いなと。他にも住宅事情の変化が絵のサイズに影響しているとか、考えてみたら当たり前ですが、いわれて初めてそうだったんだ~と。

巻末に書かれている、なぜ日本人は印象派に心惹かれるのか、というお話もとても腑に落ちました。

 

難しくなく、友達とお話しているような感じで、絵画の世界により深く分け入って楽しむ縁になる本だと感じました。