自分にやさしくする整体 片山洋次郎
整体本を続けて。こちらは日々の整体、の理論部分をかいつまんだ感じでさらっと読んで、症状に対する施術だけ知りたい人におすすめです。面白いなと思ったのは、慣用句として使っている、頭を抱える、とか、首をかしげる、浮足立つ、などの表現が比ゆ的なものでなくて実際の体の状態や、ある精神状態を解消する方法だったりすることです。例えば、精神的に追い詰められたり、興奮しすぎて心身が不安定な時、文字通り「頭を抱え」て耳の上あたりの側頭筋を触り、緊張をほぐすと行き過ぎた興奮を鎮めて、適度な集中状態に持っていけるとか…。精神的な問題に肉体からアプローチできるというのが面白いなと。各施術の項目に詩のようなものがついているのですが、それがとてもよくて読むだけでもちょっと心が軽くなる感じ。特にいいと思った、本当に落ち込んだ時(どん底だと思うとき)むけの施術の冒頭にある「うなだれながら腹の底を覗く」という詩?を引用してみます。
首をうなだれると
目線は腹の底に向いています
腹の底に垂線を下すようにして
腹の底を覗きこみます
腹の底には骨盤という井戸があります
「ガックリ」していると
そこは「絶望の淵」のようでもあり
「涸れ井戸」のようでもあります
でもじっと覗き込んでいると井戸の底のまた底に
水脈を感じるのです
じっと待っていると
そこからじわじわとそして沸々と
何かが
勝手に湧き上がってくるのです
そこには
なんの理由も根拠もありませんが
何がしかの
希望
意欲
といったものの
源泉がいつもたしかに
あるのです
ね!?よくないですか!?このように、どの詩?を読んでも、そっかぁ、深刻に考えすぎてたかも、とか疲れてただけだっのかな?と思える感じです。情報の洪水にふりまわされないで、意識的にゆっくり間を取って、呼吸をふかくして…というのがこの本の主旨でもあると思うのですが…。
こういう時代であるからこそ、生き物としての直感を磨くことが、たぶんサバイバルには有効、という著者の言葉に非常に納得です。