羊をめぐる冒険

風の歌を聴けのあと、順番的には1973年のピンボールを読むべきだったと思うのですが、手元にあったこちらを先に読んでしまいました。最初はちょっと読みにくく感じたのですが、全体の自分の印象としては、風の歌を聴けより、最近の作品に近いような感じで(これぞ村上さん節という感じで)読みやすかったです。大自然の中の閉じこもりシーンが大好物なので、それもでてきてとても満足。閉じこもっているうちに出てくる、羊男が騎士団長のような感じもしました。なんでしょうね、海辺のカフカを読んだ時も、自分の中に山に閉じこもりたい欲みたいのがあるのかな、と思ったりもしましたが、実際やったらすぐ淋しくなっちゃいそう…(家族が一緒ならぜひやりたいけど)。やはり、小説の中でそういう疑似体験?ができるのが良いのかもしれません。あと、料理もすごくおいしそうでした。村上さんの小説に出てくる方は、お金があってもなくてもあまり動じないというか、なんかおしゃれというか、生活を楽しんでいるような感じがしていいなぁと。手の込んだ料理も、クラッカーとかサンドイッチみたいのものも、同じようにおいしそうに感じるんですよね。(読書メーターで他の方の感想を読んだら、どれもおいしくなさそう、と書いている人もいたので、私だけかもしれませんが)なんていうか、食べ物や洋服というのはお金のある人は贅沢にしようとおもえば、いくらでもできるのかもしれませんが、それがすごく重要なことでもないのかなと…。多崎つくるの話で、思索できることが一番大事、という人物が出てきて、へぇ~!と思ったけど、なんかわかるような気もしました。ぼーっとしたり、なんの役にも立たないようなことを考える時間がたくさんあったり、思いついたことをすぐ実行に移せる(つまり、なんのしがらみもない)幸せ、というのはあるなぁと。

 

この作品は北海道が舞台なので(お話の中心は架空の街ですが)、行ったことない私は、北海道旅行に行ってみたくなりました。Twitterで流れてきたアルテピアッツァ美唄に行ってみたいなぁと思っていたので、そこも含めた旅行プランをたててみようかな。あと、知床にも興味ありますし、礼文島にも行ってみたい。南のはずれの島から北のはずれの島という感じですが。自分は島に特別な関心があるのかなぁと考える今日この頃。

 

特別な関心と言えば、村上春樹さんは戦争前後に起きた政治的なことというか、いろいろな裏事情?的なものに関心があるんですかね。このお話でも、ねじまき鳥でもでてきたし、登場回数が多いような気がして。このお話で描かれている時代、私はまだ生まれていませんが、この少しあと、私の子供時代にはまだ、戦争中にこんなことがあって…という話を周りでちらほら聞いていたので、そういうのが物語の中に出てきても不自然ではないのかもしれませんが、現在読むと不思議な感じがします。それだけ、たった40年位前と世界と、今の世界が変わってしまったということかもしれませんが。

 

小説の世界に浸る楽しみと、いろんなことを考える楽しみ、両方味わえるのが村上春樹さんの作品かなと思います。つぎは、ピンボールいきたいと思います!