中国茶関連書籍

京都滞在中に岩茶房という素敵な中国茶のお店でランチをしたのがきっかけで、中国茶に興味を持ち、いくつか本を借りてきました。全体にざらっと流し読みで、読了とは言えませんが、どれも良かったので再読するときのためにメモします。

 

中国茶の世界> 周 達生

国立民族学博物館勤務の著者が中国茶の概要を紹介。文庫。読みやすい文章で分量も少ないので、最初の導入、概要の理解によかった。以下は主な目次。

◆茶の種類と製法

緑茶、紅茶、青茶黄茶、白茶、黒茶、再加工茶(花茶、糯米香茶、緊圧茶)、速溶茶、袋泡茶

◆飲み方・食べ方

茶経、茶、今日の精製された茶葉、コップで飲む茶、工夫茶、飲茶と普洱茶、三砲台・茶・油茶・カラチァイ、油茶、烤茶、擂茶、姑娘茶と二イエン

◆茶の起源と伝播

 

中国茶入門> 菊地 和男

著者は写真家のようですが、料理雑誌に中国茶講座を連載しているとのこと。茶の産地、茶葉、茶器などすべて写真付きなので、イメージがわきやすく、茶器に興味がある私には非常に参考なりました。茶葉も大きな写真で形や色の違いが分かりやすかった。

◆銘茶の故郷を旅する

江南(浙江省江蘇省安徽省周辺)→緑茶、北閩・南閩福建省周辺)→青茶雲南省→茶は南方の嘉木なり、の南方とはこのあたりの事、すべての茶のルーツ

◆茶の故郷は中国にあり

茶の原産地は雲南省四川省貴州省にまたがる雲貴高原?

陸羽「茶経」、神農

中国茶六大分類

①緑茶(ルーチャア):不発酵茶

②白茶(パイチャァ):弱発酵茶

黄茶(ファンチャァ):弱後発酵茶

青茶(チンチャァ):半発酵茶

⑤黒茶(ヘイチャァ):後発酵茶

⑥紅茶(ホンチャァ):完全発酵茶

(⑦)花茶

中国茶図鑑

上記の茶葉について写真・詳細な解説付きで説明あり。

漢詩が誘う清香の世界

陸羽「六羨歌」

林甫「烹北苑茶有懐」

陸希声「茗」←陽羨雑詠より

白居易(白楽天)「山泉煎茶有懐」、「食後」

※蘇軾(蘇東坡)「試院煎茶」⇒蟹眼已過魚眼生,颼颼欲作松風鳴。

参考:お湯の沸き加減に関する研究

水の音って何の音?Part3 茶釜が奏でる水の音と、沸騰のメカニズムを科学する (中学校の部 1等賞) | 入賞作品(自由研究) | 自然科学観察コンクール(シゼコン)

凡て解説付きで、どれも詩の内容も良いですが、特に※が好きだなと思いました。

中国茶の工夫的入れ方

工夫(ゴンフ―)茶とは丁寧に入れるお茶の事。お茶の種類によって入れ方が異なることを初めて知り、こちらも写真付きの手順があってよかった。発酵していないものは低い温度、発行しているものは高い温度で。中国茶器の呼称も解説あり。

◆古雅なることこの上なき中国茶

茶壺、蓋杯、茶杯などどれも美しい。

中国茶の風情

中国の茶房の紹介。著者の体験談。

その他、健康的視点から見た中国茶、日本国内のおすすめの中国茶店、中国茶の分類表と分布図など、中国茶に興味を持つ人が知りたいことは一通り抑えられている感じで、かなりお勧めです。著者が中国茶に興味を持つきっかけになった香港の陸羽茶室での体験も素敵だなと。この著者の方はイタリア、スペインなどにも造詣が深いようなので、他の著作も読んでみたくなりました。

 

<お茶に強くなる> 別冊家庭画報

こちらは中国茶だけでなく、抹茶、煎茶、紅茶、ハーブティ、中国茶、コーヒーと幅ひろく網羅されていますが、どの項目もとても参考になったので、一家に一冊という感じかも(笑)特に参考になった点は、紅茶の缶の茶葉の形状などの見方と、リーフの部位説明(私、紅茶かなり好きなのに、今日までオレンジペコーはオレンジフレーバーなのかと思ってしまっていました…)大好きな大原照子さんのテーブルセッティングの頁もあってうれしかった。また、それぞれの飲み物にあうお菓子(お茶請け?)もかなり詳細に分けられていて(例えばコーヒーは焙煎度合によって合うお菓子が違うとか)これもかなり参考になりました。中国茶に合うお菓子というのも、他の本にはあまり記載がなかったので、知ることができてよかったです。

 

おまけ:

<お茶のある生活>

これはかなり前に読んだ本で、内容はお茶全般について熊倉功夫さん、茶道について古賀健蔵さん、英国茶について荒木安正さん、中国茶について團和子さんがそれぞれ寄稿されていて、東京電力ブックスという何かの講座のテキストなのかな?ISBNのない書籍です。私は図書館で借りて読んだのですが、手元に置きたいなと思っていて…東京電力に問い合わせてみようかな。

 

以上、長くなりましたが、どれも良書だと思いました。横浜中華街や東京にも中国茶のお店はあるみたいなので、近々茶器を見に行ってみようと思っています。また、岩茶房さんは中目黒にも店舗があるようなので、ぜひ一度伺ってみたいです。