ダンス・ダンス・ダンス 村上春樹

最初見たときはすごい分量!と思いましたが、引き込まれてあっという間に読めました。村上春樹さんは本当に読ませ力がすごいですよね…。

私の印象を一言でいうと、村上春樹作品の解説本みたいな印象。なぜかこのお話はすごく自分にわかりやすくて、主人公にも周辺の人々にも共感できたというか、気持ちはわかる、という風に思いました。他の村上作品はなんでそうなっちゃうの??という部分が結構多い気がするのですが、この物語は心情がわかりやすく説明されている気がして、他の作品もこの作品を踏まえて読むと、より理解できるというか、この作品と同じようなテーマをいろんなアプローチでやっているような気がしたのですが、どうでしょうか。

 

ネタバレになってしまうと思いますが、内容をざっとまとめると、ネズミ三部作を経て、主人公はちょっと無気力状態になっていて、特に女性との関係はうわべだけという感じになってしまっているので、このままじゃいかんということで、過去の心残りである耳のモデル(後にキキという名前とわかる)に会いに行こうとする。結局彼女には会えないんだけど、その人を探す過程で自分と似てるような正反対のような悩みを抱えている中学時代の同級生と再会したり、中学生くらいの女の子を面倒見たりすることになる。それがいろいろ作用して、自分を取り戻す、みたいな話かなぁと(ざっくりしすぎですが)。何か探す、というのが村上春樹さんの作品ではよくあるパターンで、いろんな謎を伴うので、ある意味それはミステリー的な面白さもあって、私は先を急いで読んでしまうのかなぁと思いました。この話は最初の目的こそ果たせないものの、わかりやすいハッピーエンドで、上にも書いたように、それぞれの登場人物が抱える苦悩みたいなものも、一般に理解されやすい内容だったように思いました。

 

これで村上春樹さんの長編はだいたい読んだかなぁ。短編とかエッセイ?にもトライしてみたいと思います。